金牛宮

らいさんのところでちょっと黄金聖闘士の話があったので思い出したから書く。
ボクが高校1年生のとき、「聖闘士☆星矢」がかなり流行った。
ボクも唐突に本屋でセブンセンシズに目覚めて、単行本を何冊か買った。
テレビ漫画の次回予告では、
「君は小宇宙を感じているか!」と聞かれるので、
必ず「うん!」と答えるヤツが何人もいた。
ボクは「ドラゴンボール」の「絶対みてくれヨナ!」には「うん!」と答えていた。
授業が終わるのとほとんど同時に遊んでいたカード麻雀も終わったとき、
面子の一人が廊下へ走っていった。
何人かでトイレにいったら、さっき走っていったヤツ(K)がトイレの入り口にいた。
他のクラスのヤツがトイレに入ろうとすると、Kが片手でそいつを押しとばした。
「なにすんだ」とか飛んだヤツがいったら、
「ここは金牛宮だ、誰も通さん」とKがいった。
ボクはちょっと感動したけど、小便したいのでトイレに入ろうとしたら
やっぱり突き飛ばされた。
「オレの光速の動きは誰にも見切れん」といわれたけど、
「よく見えるよ」とかいったら
「オレの名はアルデバラン」と名乗られた。
皆でどかそうとしても、
その学校のトイレは手洗い所から細い通路を抜けて入るタイプだったので、
一人か二人づつしか相手にならないし、
Kはその気になれば5、6人くらいなら平気で押しとばすくらい力があるので
すごい手こずった。というかどかせなかった。
その日から、休み時間になるとそのトイレをKが守るので
みんなそのトイレにいけなくなってしまった。
Kより先にトイレに入ったやつはKにすぐ追い出された。
先輩や先生にも同じことをするので、「今年の新入生は頭おかしい」とかいわれた。
でもこれで、「骨があるヤツら」と思ってもらえたのはたしかみたいなので、
Kにはそこそこ感謝している。
というか違う階のトイレを使えば済む話だった。
Kをどかそうと無駄に時間を使うなら、階段の昇り降りに時間を使ったほうがましだった。
Kは3年間、ほとんどトイレを守った。
まさにアテナの聖闘士だった。
無敵の黄金聖闘士だった。